【感想・レビュー】「名探偵のままでいて」2023年『このミス』大賞受賞作をレビュー!

-1-768x1024.jpeg)
-768x1024.jpeg)
今回は小西マサテル(著)の「名探偵のままでいて」がとても面白かったのでご紹介します!
2023年『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作ということもあり、内容がしっかりと作り込まれておりとてもおすすめできる作品となっております。
堅苦しい作風でもなく、テンポ良く物語が進むのでミステリー初心者の方でも読みやすい作品です!
※本作の肝となる部分のネタバレはしませんが、一部ネタバレとなる内容を含みますのでご了承ください!

えっ・・・このサイトいつからミステリー小説とか紹介するようになったの??中華ゲーム機は??

えいどりの「あれこれ」ブログだからな!!
中華ゲーム機以外にもミステリー小説やら玩具やら好きなものが色々あるからいいじゃん??
というわけで、ミステリー小説の記念すべき第1回記事いってみよう!!
「名探偵のままでいて」基本情報
- タイトル:名探偵のままでいて
- 著者:小西マサテル
- 出版社:宝島社
- ページ数:345ページ
- 発売日:2023年
- ジャンル:ミステリー(安楽椅子探偵もの)

ちなみにジャンルにある「安楽椅子探偵」というのは、事件現場には行かずに聞いた情報などを基に推理をして解決するタイプの探偵を指すよ!

「十角館の殺人(著:綾辻行人)」の時の島田 潔みたいな感じかね!!

そんな感じ!!
その名作中の名作は別の機会に紹介させてください(笑)
主要な登場人物
・楓(かえで)
この物語の主人公で公立小学校の教師。
おじいちゃんっ子でおじいちゃんの影響でミステリーが大好きな27歳の女性。
あるトラウマを抱えており、人付き合い(特に成人男性)があまり得意ではない。
・おじいちゃん【本作の探偵】
本物かどうか区別がつかないほどハッキリとした幻覚(幻視)を見てしまう「レビー小体型認知症」という病気を患っている71歳。
孫の楓とミステリー、子どもが大好き。
現役時代は小学校の校長先生をやっていて「まどふき先生」と呼ばれていた。かなり評判の良い校長だったようで引退した現在でも学校の教育機関とのパイプがあり、PTAの中でもレジェンドと呼ばれている。
・岩田(いわた)
楓と同じ小学校の先生。
不器用ながらも明るくまっすぐな性格をしている。
ガッチリとしたスポーツマンのような体格をしているが、見た目とは裏腹に料理とスイーツを作るのが好きで「クッキングパパ」を全巻もっている。
学生時代は野球部のキャッチャーで後輩の四季とバッテリーを組んでいた。
・四季(しき)
岩田の学生時代の後輩で現在は劇団員。
学生時代には野球部でピッチャーをやっていた。
初対面の人でも構わず、棘のある言葉をガンガン言えてしまう少し変わった人。
随所で偏った見方・考え方をしているもののミステリーにも詳しく、基本的には聡明な人物。
『名探偵のままでいて』のあらすじと目次
かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、七十一歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。
しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!
そんな中、やがて楓の人生に関わる重大な事件が・・・・・・。
第一章 緋色の脳細胞
第二章 居酒屋の”密室”
第三章 プールの”人間消失”
第四章 33人いる!
第五章 まぼろしの女
終章 ストーカーの謎(リドル)
本作の見どころ
1. 個性的な登場人物たち
・ツッコミ担当なのか心の声が読者にダダ漏れの主人公楓【美女】
・楓に惹かれているにも関わらず恐らくイケメンの後輩四季くんを楓と引き合わせてしまうキング・オブ・不器用の岩田!【とにかく良い人&マッチョ】
・聡明なくせして、どういう人生を生きてくればここまでひん曲がったモノの見方になるのかという四季【恐らくイケメン&細マッチョ】
・ゴロワーズ(タバコ)を吸うと推理無双するおじいちゃん【イケメン】
他にも各話毎に登場人物は多数いますがメインキャラ4名なかなかのキャラクター性です!
しかも内3名が美男・美女という・・・。岩田に関しても爽やかで明るいマッチョということでイケメンの線は消えておらずイケメン俳優2名と美女1名、渋い2枚目俳優をおじいちゃん役にしてなんだかそのうち映画かドラマにでもなりそうな雰囲気となっております!
2. 内容が充実しつつもテンポ良く進むストーリー
ミステリー要素だけに焦点を当てると各章毎に事件が解決していくため、全体を通して一つの事件を解決していくミステリー作品と比べるとじっくり徐々に真相に近づいていく楽しみというのは薄いです。
ですが、全体を通して徐々に楓のトラウマや登場人物の掘り下げ、心境の変化などを描いていくので作品全体を通して登場人物にどんどん惹き込まれていきます。
限られたページ数と文字数で伏線、謎の解明、お話のオチまで綺麗にまとめられているので全く退屈はしません!
また、章毎に次のミステリーへと話が移っていくのでテンポよく楽しくミステリーを楽しむことができると思います。こういった点では読みやすく、ミステリー小説初心者の方や久しぶりに小説や活字に触れる人に向いている作品だと思います。
3. 楓と四季によるミステリー作品トーク
ミステリーオタク2名によるミステリー作品に関する会話が「そんな作品があるんだな〜」など勉強になり、面白くもあります!
(しかも、その会話が意外と大事な意味を持っていたり・・・)
おじいちゃんとの会話でもミステリー作品が出てくるのですが「猿の手」という作品はどんな作品か気になり、ついつい調べてしまいました!
海外ミステリーの勉強にもなりますね!
まとめ
登場人物の描写がとても上手くどんどん惹き込まれていく作品だと思います。
テンポの良いストーリーで各章毎のミステリーのオチも読んでてストンと心地よく入ってきます。
楽しげな掛け合いもあったりとミステリー作品ではありますが、ドヨンとした重い空気の中で話が進む作品ではないので楽しく読み進められる作品です。
小説に出てくる名探偵が謎解き前にお決まりの行動取るのを四季がディスる裏では、おじいちゃんが「煙草を一本くれないか?」の決め台詞の後に推理無双をして事件を解決していくというスタイル・・・非常に好きですよ!!
そして、岩田に一つだけ言わせてもらいたい!!
あるシーンで岩田が「ミステリーとプロレスに頻繁に出てくる”ある言葉”とはなんでしょうか?」というクイズを2人に投げかけるのですが、その答えが「流血」。。。
1人のプロレスファンとして言わしてもらおう!!
プロレスで頻繁に流血しているのは、大日本プロレスとCZWという海外のプロレス団体くらいだぞ!!(あとは入場の時に自分で頭叩いているサンドマンくらい)
新日本プロレスやドラゴンゲートなんかでは流血なんてたまにしか見ないぞ!!
少し話が逸れましたが・・・
本作は若い男女3名が集まって親睦を深めていく様が青春ドラマのようでもあります。
そしてそして、、、若い男女が集まればそりゃあ展開としてはお決まりですよね???「どっちと良い感じになんの??」って!!
最初は楓から煙たがられていただけの岩田・・・しかし、徐々に明らかになる岩田の面倒見の良さや優しい人柄!!
初登場シーンでは、口は悪くて何だコイツと思わせるような四季も辛い過去があったり、いざという時には頼れるブレーンになったり両者どちらも応援したくなる魅力があります。
徐々に2人に心をひらいていく楓!!
さぁ、楓の選択は!!??
本を読んで是非確かめてみてください(笑)
この本の締めくくり方は本当〜〜に上手いですよ!!
恐らくこの本をキチンと読んだ人なら共感してくれるはずです♪
ミステリー好きも初心者さんも是非手にとって読んでみてください。
初めてのミステリー小説紹介は以上となります!
では、また!!
本作はミステリーファンだけでなく、個性的な人間たちによるドラマを求める読者にもおすすめできる良質な作品です。ぜひ、書店や図書館で手に取ってみてください。
▼ 既に続編も出ております ▼