ミステリー小説
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衝撃のイヤミス小説『殺人鬼フジコの衝動』読了後の感想・レビュー

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「殺人鬼フジコの衝動」(著:真梨幸子)は、一家惨殺事件を生き延びた少女が「殺人鬼フジコ」として名を刻むまでの壮絶な人生を描いた作品です!
本作はミステリーとサスペンスが絶妙に絡み合い、読者をその世界に引き込みます。
この続編として『インタビュー・イン・セル』という作品も発売されております。

えいどり
えいどり

本書が人生初の「イヤミス作品」でした!!

はんばーがー
はんばーがー

「イヤミス」ってなんぞ??

えいどり
えいどり

イヤ~~な気分になるミステリーのことだよ!!
救いのない展開・結末だったり、読んでて嫌な気持ちになる・・・でも読んじゃうみたいなミステリー作品で結構読む人を選ぶジャンルかな!
この本も本当に嫌な気分になるような展開が満載(笑)

※読む時の楽しみを奪わないよう重要なネタバレはしません!
あらすじや展開など軽微なネタバレのみあるのでご了承ください。

あらすじ:生き残りから殺人鬼へ、その軌跡

一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして新たな人生を歩み始めた十一歳の少女。だが彼女の人生はいつしか狂い始めた。
「人生は、薔薇色のお菓子のよう」。呟きながら、またひとり彼女は殺す。何がいたいけな少女を伝説の殺人鬼にしてしまったのか?
精緻に織り上げられた謎のタペストリ。最後の一行を読んだ時、あなたは著者が仕掛けたたくらみに戦慄し、その哀しみに慟哭する・・・!

本書裏面のあらすじより抜粋

物語はある人物による「はしがき」から始まる。
殺人鬼フジコを題材にした小説を書き、3日後に亡くなった人物より遺稿を受け取りこれを今世に出そうと考えている人物によるはしがき。
フジコという世間を騒がせた殺人鬼について簡単に述べられた後に本編が始まります。

フジコ幼少期

神奈川県川崎市に両親と妹の4人で暮らしています。
両親は見栄っ張りなダメ人間で外では気前よく人にあれこれ奢り、高い化粧品を買ったりと贅沢しているものの給食費や体操服など子供たちに必要なものにはお金を出しません。
さらには虐待やネグレクトを繰り返し、小学生時代の藤子(殺人鬼として呼ばれる時はカタカナ、作中は基本漢字で書かれています)に大きな影響を与えていきます。

藤子は妹と1つの体操着を交換しながら使用したり、ひからびたご飯を古い味噌汁に入れてなんとか食べれるようにしたりと苦労する幼少期を過ごします。
さらには学校ではイジメにあい、小学5年生で発育してきた身体を男子にからかわれ、先生は無関心、更にはKくんという生徒に弱みを握られ乱暴ないたずらを受けるといった悲惨な日々を送っています。

「あたしは蝋人形、おがくず人形」と心で呟き、辛いことや悲しいことを考えないよう過ごす藤子・・・

そんなある日、ある事件が起きます・・・
(抜粋したあらすじにガッツリ書いてあるけどね・・・)

藤子の新生活

叔母の茂子さんに引き取られ、新たな生活を始める藤子。
今までのお金もなく、両親からひどい扱いを受ける家庭環境から一転、藤子のことを気に掛ける優しい叔母とその家族との生活が始まります。

藤子は新しい学校では失敗しないようにと自身が加わる女の子グループ選びなどを入念に行います。しかし、仲間外れにされたくない・・・そんな思いから藤子は参加したグループ内の上位にいる女の子のワガママに付き合い、どんどん自分を窮地に追い込んでいきます!!

えいどり
えいどり

読んでいて「藤子ダメーー!!Noって言いなさい~~!!」何度も思いました(笑)
この章は幼少期とは違った苦しさを感じる章でした!

そして、学校で起きたある出来事をキッカケに藤子は壊れ始めていきます!!


あまり長々と展開を語ってしまうのも野暮というものなので、序盤部分(3章)までの要約に留めておこうと思います!!

この後、高校時代、大人時代と成長していく藤子が描かれていきますが・・・
すっごい暗く、辛い物語が続きます(笑)

4章:ああぁぁぁ・・・ダメ男・・・
5章:可哀想だからやめたげて~~、読むのが辛い~~(泣)
※第5章は子供がいる身としては一番読むのが辛い章でした(泣)

そんなこんなで殺人鬼として覚醒したフジコの物語は9章~あとがきへと進んでいきます!
そしてクライマックスでは、きっとゾゾゾッとした気分を味わうことになるでしょう!!

作品のポイント:罪、環境、そして人間の本質

1. 藤子の行動原理とトラウマ

藤子の行動は、すべて彼女が生きてきた環境と切り離せません。
トラウマや自己肯定感の欠如、そして絶望感から逃れるために「殺人」を選ぶという極端さが彼女の悲劇を生みます。また大人はちょろい、バレなければ良いといった幼少期の経験が藤子の極端さに拍車をかけます!

2. 家族と負の連鎖

母親の虐待や無責任さを否定してきた藤子が、母親に似た存在になってしまう皮肉な展開となっています。
茂子が作中で何度も「あなたのお母さんはこうだった」というのに対して私は違うと否定していた藤子がどんどん母親と似たような行動をとってしまうあたり、負の連鎖を感じてしまいます。

3. おまけ

殺人鬼として覚醒したフジコが悪い男に「変だよ、お前」と言われ、
「変?ジュース一杯で十万円請求するあんたのほうが、よっぽど変。で、払えなかったら、売春させる?そっちのほうが、よっぽど変だよ。人のこと非難する暇があるんなら、まずは自分のことを反省しなよ」

それはその通りやな(笑)
頭は飛んでいるけど、きちんと考えてはいるんだなと思った場面でした!

まとめ:イヤミスをよく理解させる衝撃作

いかがでしたでしょうか?
この記事での紹介は簡単なさわり部分だけですが、鬱屈した展開が続く『イヤミスとはこういうものだ~~~」的なのを感じさせてくれる作品だと思います!!

ただ嫌な気分にさせるだけではなく、最初から最後までしっかりと読んだ人にはゾゾゾッとするラストが待っています!

▼ちゃんとあとがきからここのページまでしっかり読みましょう!!

えいどり
えいどり

分かっているとは思うけど、この部分だけササっと立ち読みしたとて何のこっちゃ分からないので最初から読んで確認してみてね!


「怖いもの見たさ」で手に取ったとしても、最後まで目が離せなくなること請け合いです。ぜひこの機会に手に取って、藤子の人生を体感してみてください。
では、また!!

「殺人鬼フジコの衝動」の続編『インタビュー・イン・セル』

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この記事を書いた人
えいどり
えいどり
ノーマル属性の会社員
昭和末期生まれの2児のパパです!
中華ゲーム機やレトロゲーム、ミステリー小説に筋トレ、時折イラストを描いたり・・・etcと広くあれこれと楽しんでおります!!

主に中華ゲーム機やその関連情報をお届けしつつ、その時々で興味のあるものや好きなものの紹介へと脱線していきたいと思っています(笑)

X(SNS)やYoutube「えいどりのあれこれ余暇ch」も時折更新しておりますので宜しくどーぞ!!
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